「私は事務しかできない」
以前の私は、本気でそう思っていました。
短大を卒業してから、観光施設、広告代理店、ヘルスケア施設、そして一般事務と、いくつかの仕事を経験してきました。
それなのに、自分には「これができます」と胸を張って言える専門的なスキルがない。
保育士や栄養士、看護師のような資格があるわけでもない。
技術職や職人仕事ができるわけでもない。
力仕事もできない。
人のお世話をする仕事も、自分には向いていない。
「事務なら、慣れれば何とかなる。分からなければ調べればいい。」
そんなふうに考えていたので、事務の仕事を長く続けていても、それを「自分のスキル」と考えたことがありませんでした。
ところが、会社を辞めて自分のこれまでの仕事を振り返るようになってから、少しずつ考え方が変わりました。
私は、本当に「事務しかできない」のだろうか。
そこで、これまでやってきた仕事を一つずつ書き出してみました。
すると、思っていた以上にたくさんの仕事をしていたことに気づいたのです。
この記事では、そんな私自身の経験をもとに、「事務しかできない」と思ったときに、一度考えてみてほしいことを5つ紹介します。
1.まずは「当たり前にやってきた仕事」を全部書き出してみる
私が以前勤めていた会社では、一般事務として本当にさまざまな仕事を担当していました。
例えば、社員の勤怠管理や時間外勤務の管理、年末調整、健康診断の予約、福利厚生に関する申請や費用計算。
異動する社員の社宅申請や交通費・各種手当の申請書類の作成。
請求書の処理、小口現金の管理、出納帳、通帳記帳、資金送金依頼、光熱費の支払い、研修費の振込など、お金に関する仕事もありました。
さらに、固定資産や備品、消耗品、防災備蓄、被服、AED、救急箱などの管理。
36協定の作成・提出、内部監査、本社への報告。
電話や来客対応、郵便物や荷物の受け取り、名刺作成、複合機の管理、電話・インターネット回線などの契約。
そして、会社行事の企画、弁当手配、送別会など幹事もしていました。
例えばソフトボール大会では、球場を探すだけではありません。
社員の年齢を調べてチーム編成を考え、保険、道具、救急箱、弁当、ユニフォームのサイズやデザイン、費用の徴収、雨天時の対応、バスの手配まで考える必要がありました。
当時の私は、これらを「事務の仕事」「頼まれた仕事」としか思っていませんでした。
でも、今振り返ってみると、そこにはいろいろな能力が必要でした。
情報を集める。
分からないことを調べる。
本社に確認する。
過去の書類を探して参考にする。
関係する人に確認する。
期限を管理する。
先回りして問題が起きないようにする。
複数の仕事の優先順位をつける。
お金を正確に管理する。
そして、何か問題が起きたときには、その場で考えて対応する。
こうして書き出してみると、「事務しかできない」という言葉が、少し違って見えてきませんか。
「何とかする」ことも、立派なスキル
事務の仕事をしていると、「これは誰でもできる仕事」と思ってしまうことがあります。
私もそうでした。
でも、分からないことを調べて、必要な人に確認して、期限までに形にする。
誰かに頼まれた仕事について、「次に何が必要になるか」を考える。
複数の仕事を抱えながら、締め切りや相手の事情を考えて優先順位を決める。
これは、決して「何もしていない」のではありません。
むしろ、長く事務の仕事をしてきたからこそ身についた能力です。
もし今、
「私には何のスキルもない」
「事務しかできない」
と思っているなら、まずは今までの仕事を細かく書き出してみてください。
「請求書処理」「勤怠管理」「電話対応」だけで終わらせず、
その仕事をするために、自分は何を考え、何を調べ、誰と調整し、どんな問題を解決してきたのか
まで書いてみる。
そこに、あなた自身がまだ気づいていない「使えるスキル」が隠れているかもしれません。
