「私には事務しかできない」
私は、ずっとそう思っていました。
短大を卒業してから、事務職として長く働いてきました。
四年制大学を出ているわけではない。
専門的な資格があるわけでもない。
保育士や栄養士、看護師のように、「この資格があれば、この仕事ができる」という専門職でもない。
技術職や職人仕事もできない。
人のお世話をするような仕事も、自分には向いていないと思っていました。
だから、「私にはスキルがない。事務職なら、慣れればできる。」と思っていたのです。
けれど、仕事を辞めてから、これまでの経験を改めて振り返るようになりました。
すると、「事務しかしてこなかった」と思っていた私が、実際にはかなりたくさんの仕事をしてきたことに気づきました。
時間外勤務の管理、各種書類の作成、固定資産管理、勤怠管理、年末調整、健康診断、福利厚生、社員の異動に伴う手続き、小口現金や出納帳の管理、請求書処理、本社への報告。
「誰かがやらなければ職場が回らない仕事」もたくさん担当していました。
会社行事の準備では、〇〇対応まで考えました。
備品の管理では〇〇をしました。
当時の私は、これらを「スキル」だとは思っていませんでした。
自分がやったほうが早い。
他にやる人がいない。
頼まれたら断れない。
やらなければ、後々困るのは自分。
そんな気持ちで、必要なことを一つずつ処理していただけでした。
でも今振り返ると、そこには次の仕事にもつながる経験がたくさんあったのだと思います。
この記事では、私自身の経験を振り返りながら、「事務しかできない」と思ったときに、
「事務しかできない」ではなく、「事務で何をしてきたか」を振り返る。
「一般事務」と一言で言ってしまうと、自分の経験がとても小さく見えてしまいます。
私自身がそうでした。
でも、実際にやってきた仕事を書き出してみると、単にパソコンで書類を作っていただけではありませんでした。
社員の勤怠を管理し、時間外勤務の未申請者には確認をし、本社へ報告する。
年末調整の書類を確認する。
健康診断を社員40人分予約する。
異動してきた社員の社宅や交通費、手当の申請をする。
社員の申請書類を作る。
請求書を処理し、小口現金や出納帳を管理する。
固定資産や備品、防災用品、AEDなどを管理する。
社員から頼まれたことを調べ、分からなければ本社に確認し、過去の書類を探したり、インターネットで調べたりして、何とか仕事を前に進める。
仕事が重なったときには、締め切りが近いもの、自分より先に頼まれているもの、一度提出しても修正になりそうなもの、初めて担当するため時間がかかりそうなものから優先していました。
当時は、これが特別なことだとは思っていませんでした。
「仕事だからやる」
ただ、それだけでした。
でも、今になって考えると、そこには期限を守る力、優先順位をつける力、調べて解決する力、複数の仕事を同時に管理する力がありました。
そして何より、「誰かがやらなければ困る仕事」を最後まで責任を持って処理してきた経験があります。
「事務しかできない」と思っているときは、職種名だけで自分の経験を判断しないほうがいいのかもしれません。
「私は事務しかしていない」ではなく、
「私は事務の仕事を通して、何をしてきたんだろう?」
と一度書き出してみる。
それだけでも、自分の見え方が少し変わるかもしれません。
