前の会社を辞めようと決めたとき、私はすぐに「次はこの仕事をしよう」と決めていたわけではありません。
むしろ、分かりませんでした。
長く勤めた会社を辞める。
これからどうやって働いていくのか。
何の仕事なら、自分は続けられるのか。
考えれば考えるほど、答えが出ませんでした。
でも、一つだけ思っていたことがあります。
「もう、寂しい思いをするような場所では働きたくない」
そして、
「優しい世界に行きたい」
と思っていました。
「優しい世界に行きたい」と思った
前職では、仕事そのものだけではなく、人間関係や職場の環境に苦しんでいました。
仕事をしていても、
「私は何のためにここにいるんだろう」
と思うことがありました。
頑張っても報われない。
気遣っても、それが当たり前になっていく。
仕事をしない人がいても、その分を誰かが背負わなければならない。
そんな環境に長くいるうちに、私は疲れてしまいました。
だから退職を考えたとき、
「もっと人に優しくできる仕事がしたい」
「誰かの役に立っていると実感できる仕事がしたい」
と思うようになりました。
そのとき、最初に調べたのが福祉の仕事でした。
社会福祉士になろうと考えた
福祉について調べているうちに、
「社会福祉士になるのもいいかもしれない」
と思うようになりました。
通信制大学のパンフレットを取り寄せました。
実際に福祉業界を知っている人にも話を聞きました。
そして、考えているだけでは分からないと思い、ボランティアにも登録しました。
障害のある方が利用する施設にも、実際にボランティアに行きました。
今振り返ると、この行動は自分にとって大きかったと思います。
「福祉に興味があります」
と言うだけなら簡単です。
でも、
実際にその場所に行ってみる。
そこで働く人を見る。
利用する人と接する。
自分がその仕事をしている姿を想像してみる。
そうすると、頭の中だけでは分からなかったことが見えてきます。
でも、福祉ではなかった
福祉について調べ、実際にボランティアもしてみました。
それでも、最終的に私は福祉の道には進みませんでした。
「人の役に立ちたい」
という気持ちはありました。
「優しい世界に行きたい」
という気持ちもありました。
でも、
「人の役に立つ仕事なら、何でも自分に合うわけではない」
ということにも気づいたのです。
これは、今の私にとって、とても大切な経験です。
「やりたいこと」は、やってみないと分からない
以前の私は、
「やりたいことを見つけてから動く」
ものだと思っていました。
だから、やりたいことが分からない自分は、ずっと立ち止まっていました。
でも、実際には逆だったのかもしれません。
調べてみる。
パンフレットを取り寄せる。
人に話を聞く。
ボランティアに行く。
実際に体験してみる。
そして、
「ちょっと違うかもしれない」
と分かる。
それも、立派なキャリア選択です。
「違う」と分かったことも、前に進んだ結果。
今はそう思えます。
そして、キャリアコンサルタントに出会った
福祉について考えていた時期を経て、私はキャリアコンサルタントの勉強を始めることになります。
そのきっかけになったのが、ヒューマンアカデミーで受けたキャリアカウンセリングでした。
そこで、自分のこれまでの仕事や経験について話しました。
すると、キャリアコンサルタントの道を勧めてもらいました。
最初は、
「キャリアコンサルタント?」
という感じでした。
それまで詳しく知らなかった仕事です。
でも、話を聞いていくうちに、
「もしかしたら、私がやりたいことって、こっちなのかもしれない」
と思うようになりました。
私は「人を助けたい」だけではなかった
ここまで自分のキャリアを振り返って、少し分かったことがあります。
私は、単純に「人を助ける仕事」がしたかったわけではありませんでした。
人の話を聞く。
相手の状況を考える。
困っていることを一緒に整理する。
必要な情報を調べる。
相手が自分で考えて決めるためのサポートをする。
そして、
「ありがとう」と言ってもらえる。
そういう関わりが好きだったのだと思います。
福祉について考えたことも、無駄ではありませんでした。
むしろ、
「私は何に心が動くのか」
を知るための一つの経験になりました。
「人の役に立ちたい」には、いろいろな形がある
人の役に立つ仕事というと、私は以前、
看護師。
介護士。
保育士。
教師。
そんな仕事を思い浮かべていました。
でも、キャリアコンサルタントの勉強を始めてから、
人を支える方法は、それだけではないと知りました。
その人の話を聴く。
その人の経験を一緒に整理する。
選択肢を見つける。
「本当はどうしたいのか」を考える。
一歩踏み出すためのサポートをする。
それも、人を支える仕事なのです。
だから「何がしたいか分からない」は、悪いことではない
30代、40代になると、
「今さらやりたいことなんて見つからない」
と思ってしまうことがあります。
特に、ずっと事務職をしてきた人なら、
「事務しかしてこなかった」
「特別な資格もない」
「今さら何ができるんだろう」
と思うかもしれません。
私もそうでした。
でも、これまでの経験を振り返ってみると、
「何がしたいか」は分からなくても、
「何をすると自分が嬉しいか」
は、意外と見つかります。
私は、
人と話すこと。
気遣いをすること。
頼られること。
工夫すること。
誰かの役に立つこと。
「あなたに任せたい」と言ってもらえること。
こうした経験を一つずつ拾っていきました。
それが、今のキャリアコンサルタントという方向につながっています。
キャリアは「突然のひらめき」ではなかった
今振り返ると、
「私はキャリアコンサルタントになりたい!」
と突然ひらめいたわけではありません。
前職で寂しい思いをした。
だから、優しい世界に行きたくなった。
福祉を調べた。
社会福祉士を考えた。
実際に人に話を聞いた。
ボランティアにも行った。
でも、違うと感じた。
その後、キャリアカウンセリングを受けた。
そこでキャリアコンサルタントを知った。
そして、勉強を始めた。
こうして並べてみると、
一つひとつの経験が、次の選択につながっている
ことが分かります。
当時は、そんなことを考えていませんでした。
ただ、
「これかな?」
「やっぱり違うかな?」
と迷いながら動いていただけです。
「違った」は、失敗ではない
これは、今の私が過去の自分に伝えたいことでもあります。
福祉を選ばなかった。
社会福祉士にならなかった。
それは、失敗ではありません。
調べたから分かった。
話を聞いたから分かった。
実際にボランティアをしたから分かった。
だから次に進めた。
もし何も行動しなければ、
「福祉が向いているかもしれない」
という想像の中に、ずっといたかもしれません。
だから、
「やってみて違った」ことには意味がある。
そう思っています。
転職先が決まっていなくても、動き出せる
退職を考えていると、
「次の仕事を決めてから辞めなきゃ」
と思うことがあります。
もちろん、生活のことを考えれば、慎重になるのは当然です。
でも、
「次に何をするか分からないから、何もできない」
とは限りません。
興味のある業界を調べる。
求人を眺める。
資格について調べる。
実際に働いている人に話を聞く。
セミナーに参加する。
ボランティアをする。
キャリアカウンセリングを受ける。
そうやって、
「自分に合うかもしれないもの」と「違うかもしれないもの」を少しずつ知っていく。
それだけでも、十分に前進です。
私もまだ、キャリアの途中
福祉をやめて、キャリアコンサルタントを選んだからといって、すべての答えが出たわけではありません。
資格取得もまだ途中です。
その先にどんな働き方をするのかも、まだ考えている途中です。
だから私は、
「36歳からキャリアチェンジしました!」
と、完成した物語として語ることはできません。
むしろ、
「36歳から、自分のキャリアを考え始めました」
というほうが近い。
そして、私はそのほうがいいと思っています。
完成していないからこそ、迷う。
迷うからこそ、調べる。
調べるからこそ、少し分かる。
分かったら、また動いてみる。
その繰り返しです。
「何がしたいか分からない」から始めてもいい
昔の私は、
「やりたい仕事が分からない自分は、何も持っていない」
と思っていました。
でも今は違います。
「何がしたいか分からない」なら、
まず、
「何が嫌なのか」
から考えてもいい。
「どんな環境なら嫌なのか」
「どんな人とは働きたくないのか」
「どんな暮らしをしたいのか」
「何をされると嬉しいのか」
「どんなときに、自分らしくいられるのか」
そういうところからでも、自分のキャリアは見えてきます。
私もそうでした。
最初から答えがあったわけではありません。
迷って、調べて、違って、また考えて。
その先に、今の自分がいます。
だから今、キャリアに迷っている人に伝えたい。
「まだ答えがない」ことは、「何も始まっていない」ということではありません。
もしかしたら、もう始まっているのかもしれません。
私もまだ、これからです。
まだ、これから。
