事務しかしてこなかった私に、何が残っている?

「私、事務しかしてこなかったんです」

転職の話をするとき、

私は何度も、

この言葉を使っていました。

「営業経験があるわけでもない」

「専門職でもない」

「パソコンが特別得意なわけでもない」

「資格も、たくさん持っているわけじゃない」

だから、

求人を見ていると、

なんだか自分だけ、

何も持っていないような気持ちになる。

でも、

キャリアについて勉強するようになって、

少し考え方が変わりました。

「事務しかしてこなかった」のではなく、「事務の仕事を通して、いろいろな力を身につけてきた」のかもしれない。

今日は、

私自身の経験を、

一つずつ「スキル」に翻訳してみたいと思います。

目次

①請求書を処理してきた

私は、

月に約50件の請求書処理を担当していました。

これを、

以前の私は、

「請求書を処理していただけ」

と思っていました。

でも、

よく考えてみると、

ただ入力して終わりではありません。

金額を確認する。

内容を確認する。

期限を確認する。

間違いがないように処理する。

必要な人に確認する。

締め切りまでに終わらせる。

これって、

正確性と期限管理のスキルです。

しかも、

毎月繰り返し発生する仕事だからこそ、

「ミスをしない仕組み」

を考えることも大切でした。

事務職で身につけた、

立派な実務能力です。

②経費精算や小口現金を扱ってきた

お金を扱う仕事には、

正確さが必要です。

一円でも間違えれば、

確認が必要になる。

だから、

「なんとなく」で処理するわけにはいきません。

数字を確認する。

証憑を確認する。

ルールに沿って処理する。

不明点があれば確認する。

これは、

正確な事務処理能力

につながります。

「経理の専門家です」

とは言えなくても、

お金に関する事務処理を、

責任を持って経験してきた。

これは、

ちゃんとした経験です。

③40人の勤怠管理をしてきた

正社員になってから、

私は2拠点、

計40名の社員を対象とした勤怠管理を担当しました。

これも、

「勤怠をチェックしていただけ」

と思っていた時期があります。

でも、

40人分の勤務状況を管理するには、

一人ひとりの状況を見る必要があります。

休暇。

勤務時間。

各種申請。

不備の確認。

必要な修正。

そして、

期限までに処理する。

つまり、

ここには、

複数人の情報を管理する力

があります。

さらに、

社員から質問を受けたり、

申請について説明したりすることもありました。

そう考えると、

勤怠管理は、

単なるデータ入力ではありません。

「人」に関わる事務

でもあったのです。

④年末調整を担当した

年末調整も、

多くの人にとっては、

「会社の事務員さんがやってくれるもの」

かもしれません。

でも、

担当する側になると、

意外と大変です。

必要な書類を案内する。

提出状況を確認する。

不備があれば本人に確認する。

期限を管理する。

本社へ報告する。

つまり、

ここでも、

書類管理+社員対応+期限管理

という複数の能力を使っています。

一つの仕事の中に、

実はたくさんのスキルが隠れている。

私は、

キャリアを振り返って、

それに気づきました。

⑤福利厚生や健康診断の対応をしてきた

これも、

人事に近い仕事です。

社員が必要な制度を利用できるように案内する。

必要な書類を集める。

期限を確認する。

問い合わせに対応する。

健康診断について案内する。

こういう仕事をしていると、

「社員が困らないように準備する」

という視点が身につきます。

これは、

私がこれから興味を持っている、

社員支援

にもつながっています。

以前は、

「ただ福利厚生の事務をしていた」

と思っていました。

今は、

「社員が働き続けるための環境を支える仕事をしていた」

とも言えるのだと気づきました。

⑥社員からの相談や申請対応をしてきた

私は、

社員から、

いろいろな問い合わせを受けてきました。

「この申請はどうすればいいですか?」

「この書類は必要ですか?」

「ここはどう記入すればいいですか?」

そんな質問に、

一つずつ対応していました。

これも、

単なる「質問への回答」ではありません。

相手が何を知りたいのかを理解する。

必要な情報を整理する。

相手に分かるように伝える。

場合によっては、

担当部署へ確認する。

つまり、

コミュニケーション力と調整力

が必要です。

そして、

私は、

こういう「人を支える事務」が、

嫌いではありませんでした。

むしろ、

今振り返ると、

好きだったのだと思います。

⑦正社員に登用された

これは、

自分で忘れてはいけない経験だと思っています。

私は、

派遣社員として入社しました。

育児休業者の代替要員として、

一般事務を担当しました。

経費精算。

小口現金。

請求書。

書類作成。

備品管理。

社員の申請補助。

いろいろな仕事を任せてもらいました。

そして、

約1年後、

仕事への取り組みや責任感を評価してもらい、

正社員に登用されました。

つまり、

私は、

「仕事を任せてもらえる人」

だったということです。

自分で自分を評価するとき、

ここを忘れてはいけない。

「資格がない」と「能力がない」は違う

転職活動をしていると、

資格欄が気になります。

「資格がない」

「資格が少ない」

「もっと取らなきゃ」

と思う。

でも、

資格は、

自分の能力のすべてではありません。

これまで、

何を任されてきたか。

どんな仕事を、

どれくらいの責任を持ってやってきたか。

どんな問題に対応してきたか。

どんな人と関わってきたか。

こちらも、

立派なキャリアです。

「スキルがない」と思ったら、動詞にしてみる

最近、

自分の職歴を見るとき、

「業務名」だけを見るのをやめました。

例えば、

「請求書処理」

だけではなく、

確認する。

期限を管理する。

正確に処理する。

不備を見つける。

関係者に確認する。

と、

動詞にしてみる。

「勤怠管理」

なら、

情報を管理する。

複数人の状況を把握する。

申請を確認する。

問い合わせに対応する。

「年末調整」

なら、

必要書類を案内する。

提出状況を確認する。

不備を確認する。

期限を管理する。

こうやって、

仕事を分解していくと、

「私、結構いろいろやってきたじゃん」

と思えてきます。

事務経験は、人事にもつながる

私が今、

キャリアコンサルタントの勉強をしていて、

人事領域にも興味を持っているのは、

突然の方向転換ではないのかもしれません。

勤怠管理。

年末調整。

福利厚生。

健康診断。

各種申請。

社員対応。

これまでやってきた仕事の中には、

すでに、

「社員を支える」

という要素がありました。

だから、

これから採用や人材育成、

社員支援などに関わってみたいと思うことも、

それほど不思議ではないのかもしれません。

「事務しかしていない」は、言い換えられる

もし、

面接で、

「これまで何をしてきましたか?」

と聞かれたら、

以前の私は、

「事務です」

と答えていたと思います。

でも、

今なら、

もう少し違う言い方ができます。

正確性が求められる事務処理を継続して担当してきた。

複数拠点・40名の社員の勤怠管理を経験した。

年末調整や福利厚生、健康診断など、社員を支える業務を担当した。

月約50件の請求書処理を、期限を意識しながら継続して行った。

社員からの申請や問い合わせに対応してきた。

派遣社員として入社後、仕事への取り組みや責任感を評価され、正社員に登用された。

同じ経歴なのに、

言葉を変えるだけで、

少し印象が変わります。

キャリアは「肩書き」だけではない

私は、

「事務員」

という肩書きだけを見て、

自分のキャリアを小さく見積もっていたのかもしれません。

でも、

肩書きの後ろには、

毎日の仕事があります。

誰かから依頼された仕事を、

期限までに終わらせる。

間違いがないように確認する。

困っている人がいたら対応する。

分からないことは調べる。

必要な人に確認する。

周囲の状況を見ながら、

仕事が滞らないようにする。

そういう小さな積み重ねが、

何年分も積み上がっています。

それは、

「何もない」

とは言えないと思います。

それでも、「もっと専門性が欲しい」と思う

だからといって、

「事務経験だけで十分」

と思っているわけではありません。

私は、

これから新しい専門性を身につけたい。

それで、

キャリアコンサルタントの勉強を始めました。

今までの事務経験に、

新しい知識や資格を重ねる。

そして、

これまでの経験と、

これから学ぶことを、

別々に考えるのではなく、

つなげていく。

それが、

今の私が考えているキャリアです。

36歳の私は、「ゼロから」ではない

もし、

今の私が転職するとしたら、

「未経験の仕事に挑戦する36歳」

ではあります。

でも、

「何もない36歳」ではありません。

これまで働いてきた時間があります。

任された仕事があります。

評価された経験があります。

人と関わった経験があります。

失敗した経験もあります。

嫌だった経験もあります。

そして、

そこから、

「私はどんな働き方がしたいのか」

を考え始めました。

だから、

次の仕事は、

ゼロからのスタートではありません。

これまでの自分の上に、新しいキャリアを積み重ねていく。

そんなふうに考えています。

「事務しかしてこなかった」と悩んでいるあなたへ

もし、

あなたも、

「事務しかしてこなかった」

と思っているなら、

一度、

自分の仕事を細かく分解してみてください。

何をしてきた?

誰と関わってきた?

何を任されてきた?

どんなときに頼られた?

どんな仕事なら苦にならなかった?

逆に、

どんな仕事が苦痛だった?

そして、

それを一つずつ、

「スキル」という言葉に置き換えてみる。

もしかしたら、

自分が思っているより、

たくさんのものが残っているかもしれません。

私も、

まだ途中です。

「これが私の専門性です」

と、

胸を張って言えるところまでは、

まだ来ていません。

でも、

少なくとも、

「私には何もない」

とは、

もう思わなくなりました。

事務しかしてこなかった。

でも、

その「しかしてこなかった」の中に、

私がこれまで生きて働いてきた時間が、

ちゃんと詰まっています。

それを、

これから少しずつ、

次のキャリアにつなげていきたい。

まだ、これから。

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