私は昔から、
「長く勤められる仕事がいい」
と思っていました。
安定している会社に入って、
きちんと働いて、
結婚して家庭を持って、
普通に幸せになる。
それが、自分にとっての「良い人生」だと思っていました。
だから、仕事を選ぶときも、
「安定しているか」
「長く続けられるか」
をかなり重視していました。
でも、36歳になった今。
これまでの仕事を振り返ってみると、
どうやら「安定していれば、それだけで幸せ」というわけではなかった
ことに気づきました。
安定している会社を辞めた私
前職は、一般的に見ればかなり安定した会社でした。
大きな会社。
福利厚生もある。
正社員。
給与も安定している。
周囲から見れば、
「そんな会社、辞めるのもったいないよ」
と思われるような職場だったと思います。
私自身も、何度もそう思いました。
「こんなに安定した会社を辞めていいの?」
と。
それでも、私は退職しました。
なぜでしょうか。
安定が嫌だったわけではありません。
むしろ、今でも安定は大切です。
一人で生活していくためには、安定した収入が必要です。
ただ、
安定だけでは足りなかった。
それが、今になって分かります。
「安定」の中にも、いろいろある
キャリアについて勉強するようになってから、
「安定」という言葉についても考えるようになりました。
会社が大きいこと。
正社員であること。
給与が毎月入ること。
福利厚生があること。
これらは、確かに安心につながります。
でも、
「毎日職場に行くことが苦痛」
「自分の意見が言えない」
「人間関係に疲れる」
「仕事をしない人に振り回される」
「工夫することが許されない」
という状態だったら、
その人にとって本当に「安定した働き方」と言えるのでしょうか。
私は、少し違うのではないかと思うようになりました。
私にとっての「安定」は、もっと広かった
今の私が考える安定は、
「会社が潰れない」
だけではありません。
心身ともに無理なく働き続けられること。
人間関係で消耗しすぎないこと。
生活を維持できる収入があること。
自分の時間を確保できること。
長く続けられる環境であること。
これらも、私にとっては「安定」です。
だから、
給与が高くても毎日消耗する仕事より、
そこそこ生活できて、無理なく長く続けられる仕事のほうがいい。
会社が大きくても、自分に合わない環境なら苦しい。
小さな組織でも、
「ここなら続けられる」
と思えるなら、私にとっては価値があります。
そして、私は「東京に行かない」を何度も選んできた
私のキャリアを考えるうえで、もう一つ外せないものがあります。
東京に住みたくない。
これは、かなりはっきりしています。
短大を選んだときも、周囲が仙台や東京の大学を選ぶ中で、私は茨城を選びました。
「どうして茨城?」
と驚かれることは、今でもあります。
でも、
満員電車が嫌。
人が多い街が嫌。
狭い部屋に高い家賃を払うのが嫌。
都会の人混みが苦手。
都心の地震も怖い。
だから、東京に近い場所で働くことが「出世」や「キャリアアップ」につながったとしても、
私はそれを選びませんでした。
「評価されること」より「自分らしく暮らすこと」
前職では、本社への異動を何度か打診されました。
総務課や経理課に来てほしい。
事業所の雰囲気や上司が嫌なら、本社で活躍してほしい。
そう言ってもらえました。
仕事ぶりを評価してもらえたことは、もちろん嬉しかったです。
でも、
「東京に行く」
という選択肢だけは、どうしても受け入れられませんでした。
昔なら、
「せっかく評価されたのだから、行くべきなのかな」
と悩んでいたかもしれません。
でも今は、
「評価されること」と「自分にとって幸せなこと」は別
だと分かります。
私にとっては、
キャリアアップのために東京へ行くことより、
自分が好きな場所で、自分らしい暮らしをすることのほうが大切だった。
それも、私のキャリアアンカーの一つなのだと思います。
私は「出世したい人」ではなかった
仕事を頑張る。
評価される。
責任のある仕事を任される。
昇進する。
大きな会社で活躍する。
こういうことが、すべての人にとって嬉しいわけではありません。
私の場合、
「あなたなら任せられる」
と言ってもらうことは嬉しい。
「あなたがやったから良くなった」
と言われるのも嬉しい。
でも、
「もっと上の立場になりたい」
「もっと大きな組織を動かしたい」
という気持ちは、それほど強くありません。
むしろ、
自分が納得できる仕事を、きちんとやりたい。
その中で、
「あなたにお願いしてよかった」
と言ってもらえれば嬉しい。
私にとっては、そのほうがやりがいにつながります。
「人が好き」だけど、「人が多い職場」は嫌
これも、一見すると矛盾しています。
私は、
「〇〇さんはみんなと仲がいいね」
と言われてきました。
人と話すことも好き。
誰かを気遣うことも好き。
相談されるのも嬉しい。
でも、
人が多すぎる環境は苦手です。
若い人ばかりの職場も嫌。
女性ばかりの職場も嫌。
人とずっと一緒にいなければならない仕事も疲れる。
基本は自分の仕事に集中したい。
だから私にとって理想なのは、
「人と関わる仕事」ではなく、
「必要なときに人と関われる仕事」
なのだと思います。
一人で集中する時間もある。
必要なときには誰かをサポートする。
相談されたら対応する。
そして、また自分の仕事に戻る。
このくらいの距離感が心地いい。
「工夫できること」も、私には大切だった
もう一つ、自分の中でかなり大きい価値観があります。
自分なりに工夫できること。
基本的なルールや仕事の進め方は必要です。
でも、
「絶対にこの方法でなければいけない」
「前からこうだから」
「上司の言う通りにするだけ」
という環境は、私は苦しくなります。
反対に、
「どうしたらもっと良くなると思う?」
「あなたに任せるよ」
と言ってもらえると、俄然やる気が出ます。
そして、
「あなたがやったから良くなった」
と言われると、本当に嬉しい。
だから私は、
裁量がありすぎる仕事も怖いけれど、
裁量がまったくない仕事も嫌なのだと思います。
「任せてもらえるけれど、困ったときには相談できる」
くらいが理想です。
私が仕事に求めているもの
ここまで自分の経験を整理して、
「じゃあ、私は仕事に何を求めているんだろう?」
と考えてみました。
今のところ、こんな答えになっています。
生活できるだけの収入があること。
長く続けられること。
自分の時間が確保できること。
東京ではなく、自分が暮らしたい場所で働けること。
人との関わりが多すぎないこと。
でも、完全に一人ではないこと。
誰かをサポートできること。
自分なりに工夫できること。
仕事を任せてもらえること。
仕事をしない人に振り回されないこと。
年齢や立場だけで人を支配するような人が少ないこと。
こうして並べてみると、
「私って、結構条件が多いな」
と思います(笑)。
でも、これまでの経験があるからこそ分かった条件です。
条件が多いことは、悪いことじゃない
若い頃は、
「仕事なんて、どこでも同じ」
と思っていました。
与えられた仕事を頑張ればいい。
長く続ければいい。
安定していればいい。
でも、今はそう思いません。
人によって、
大切にしたいものは違います。
給与を最優先する人。
出世したい人。
専門性を高めたい人。
家族との時間を優先したい人。
自由な働き方をしたい人。
地域に根ざして働きたい人。
私のように、
「自分らしい暮らしを守りながら、無理なく長く働きたい」
という人もいる。
どれが正しいということではありません。
キャリアアンカーは、「自分を縛るもの」ではない
キャリアについて勉強していると、
「キャリアアンカー」という言葉に出会います。
キャリアアンカーとは、簡単に言えば、
仕事を選ぶときに、自分がどうしても大切にしたい価値観や欲求
のようなものです。
私の場合、
「長く働きたい」
「安定した生活をしたい」
という気持ちだけではなく、
「自分らしく暮らしたい」
「自分で工夫したい」
「自分の時間も大切にしたい」
「人と適度につながっていたい」
というものも強くある。
だから、仕事を選ぶときに、
「給与が高いから」
「大企業だから」
だけで決めると、
自分の大切なものを置き去りにしてしまう可能性があります。
「何をしたい?」より、「何を失いたくない?」
最近、私は自分にこういう質問をすることがあります。
「何がしたい?」
ではなく、
「何を失いたくない?」
と。
例えば、
自分の住みたい場所。
一人の時間。
自分らしい暮らし。
心の余裕。
ある程度の収入。
人とのつながり。
自分で考える自由。
これらを全部失ってまで、
「条件の良い仕事」に行きたいのか。
そう考えると、仕事選びの基準が少し変わってきます。
「向いている仕事」より「続けられる人生」
私は今、
「天職を見つけなきゃ」
とは、あまり思わなくなりました。
もちろん、やりたい仕事が見つかれば素敵です。
でも、それ以上に、
自分が大切にしたいものを守りながら、長く続けられる仕事
を見つけたい。
仕事だけが人生ではないからです。
自分の家に帰る。
好きなものに囲まれる。
一人で過ごす。
趣味を楽しむ。
運動する。
勉強する。
誰かと会う。
そんな時間も、私にとっては人生です。
だから、
「仕事で成功するために、暮らしを犠牲にする」
という選択は、今の私には合いません。
36歳だから、分かることもある
20代の頃の私は、
「安定した仕事に就けば幸せになれる」
と思っていました。
30代になって、
「安定していても、合わない環境では苦しくなる」
と知りました。
そして36歳になった今、
「私は、何を大切にして生きたいのか」
を少しずつ考えています。
まだ答えは出ていません。
これから転職するかもしれない。
今までの経験を活かすかもしれない。
資格を活かすかもしれない。
全く違う仕事に挑戦するかもしれない。
でも、次に仕事を選ぶときは、
「どんな会社なら入れるか」
だけではなく、
「どんな人生なら、自分は続けていけるか」
を考えたいと思っています。
仕事を選ぶことは、
仕事だけを選ぶことではない。
どこに住むのか。
どんな毎日を過ごすのか。
誰と関わるのか。
どれくらい自分の時間を持つのか。
どんな自分でいたいのか。
そういうことまで含めて、
自分の人生を選ぶこと
なのだと思います。
36歳。
まだ、これから。
