ここで、
「VPIって何?」
と思った方もいるかもしれません。
私も、受けるまでは詳しく知りませんでした。
VPIは、
「Vocational Preference Inventory」
の略で、日本語では「VPI職業興味検査」といいます。
簡単にいうと、
「自分は、どんな仕事や活動に興味を持ちやすいのか」を知るための検査です。
「あなたには、この仕事が向いています」
と答えを出してくれるものではありません。
むしろ、
自分の興味の方向を知って、これからの職業選択やキャリアについて考えるための材料
です。
日本版のVPIは、アメリカの心理学者・キャリア研究者である**ジョン・L・ホランド(John L. Holland)**が開発したVPIを、日本向けに作成したものです。日本版は労働政策研究・研修機構(JILPT)が作成し、現在は日本文化科学社が提供しています。
VPIを作った「ホランド」ってどんな人?
ホランドは、
「人は、自分の性格や興味に合った環境を選びやすいのではないか」
という考え方から、職業選択について研究した人物です。
ホランドの理論では、
職業選択は、単に「能力があるかどうか」だけで決まるものではなく、その人のパーソナリティや興味と、働く環境との相性も大切
だと考えます。
この考え方は、
RIASEC(リアセック)
と呼ばれる6つのタイプで表されます。
R:現実的(Realistic)
機械や道具、物、動植物など、
具体的なものを扱うこと
に興味を持ちやすいタイプ。
I:研究的(Investigative)
調べる、分析する、考える、研究するなど、
知的に探究すること
に興味を持ちやすいタイプ。
A:芸術的(Artistic)
文章、音楽、芸術、デザインなど、
自由に表現したり創造したりすること
に興味を持ちやすいタイプ。
S:社会的(Social)
人と話す、人を支援する、教える、相談に乗るなど、
人の成長や問題解決を助けること
に興味を持ちやすいタイプ。
E:企業的(Enterprising)
企画する、人に働きかける、組織を動かす、リーダーシップを発揮するなど、
人や組織に影響を与えること
に興味を持ちやすいタイプ。
C:慣習的(Conventional)
情報を整理する、決められた手順で進める、数字やデータを扱うなど、
正確に、秩序立てて物事を進めること
に興味を持ちやすいタイプ。
この6つは、
R・I・A・S・E・C
の頭文字を取って「RIASEC」と呼ばれています。
そして、
この6つを六角形に配置したものが、
「ホランドの六角形」
です。
隣り合っているタイプほど心理的な類似性が高く、離れたタイプほど違いが大きいと考えられています。
どうしてこんな理論が生まれたの?
ここが、個人的に面白いところです。
ホランドのVPIの原版は1953年に初版が作られ、その後改訂を重ねています。
当時から、
「人はどうやって職業を選ぶのか?」
ということは、キャリア支援における大きなテーマでした。
ただ、
「この人はこの仕事に就けばいい」
と外側から決めるのではなく、
「本人は何に興味を持っているのか」
「どんな環境を好むのか」
「どんな仕事なら自分らしくいられるのか」
を考える。
ホランドの理論は、
「人」と「職業・環境」の相性
に注目した点に特徴があります。
だから、
「能力があるから、その仕事」
だけではない。
「興味がある」
「価値観に合っている」
「自分らしく働ける」
という視点をキャリアに取り入れられる。
私は、
ここがとても面白いと思っています。
VPIは、どんな人が受けるの?
日本版VPIは、
18歳以上
が適用範囲です。
JILPTでは、
短大生・大学生以上を対象として紹介されています。
特に、
- 大学・短大などで進路を考えている人
- 就職活動中の人
- 転職を考えている人
- 今の仕事を続けるか迷っている人
- 自分の興味の方向が分からない人
- キャリアについて考え直したい人
などが、
「自分を知るための材料」
として使うことができます。
ただし、
日本版は大学・短大生を中心に標準化されているため、社会人が受ける場合は、年齢や学歴、これまでの職業経験なども考慮して結果を見る必要があります。
つまり、
36歳の私の結果を、そのまま「36歳女性の平均」と比較するような検査ではありません。
ここは大切なポイントです。
どんなことをするの?
VPIの面白いところは、
難しい質問ばかりではないことです。
160個の具体的な職業名
を見て、
「興味がある」
「興味がない」
というように回答していきます。
所要時間は、
おおむね15~20分程度。
「医師」
「教師」
「記者」
「営業職」
「研究者」
「事務職」
など、
さまざまな職業について、
自分がどのくらい興味を持つかを答えていきます。
これが意外と面白い。
なぜなら、
「この仕事、実際に就きたいわけじゃないけど、ちょっと興味あるな」
という自分の気持ちが出てくるからです。
逆に、
世間では人気のある仕事でも、
「私は全然興味がない」
ということもあります。
私はここが面白かった
私は、
「自分のやりたい仕事が分からない」
ことを長年悩んできました。
だから、
VPIのように、
いきなり、
「あなたの天職はこれです!」
と言われるのではなく、
自分の興味を一つずつ見ていく方法は、
とても面白いと思いました。
「私って、何に反応するんだろう?」
と、
自分を少し離れたところから観察できる。
それだけでも、
自己理解のきっかけになります。
結果はどう見るの?
VPIでは、
主に6つの興味領域について、
それぞれどの程度の興味があるかがプロフィールとして表示されます。
つまり、
「Rが高い」
「Sがかなり高い」
「Aは低い」
など、
自分の興味の偏りが見えてきます。
そして、
その中でも特に高い3つの領域を組み合わせて、
「興味パターン」
として見ることができます。
例えば、
S・C・Iなら、
「人を支援すること」
「情報を整理すること」
「調べたり考えたりすること」
といった要素を持つ仕事に、
自分の興味が向いている可能性があります。
ただし、
ここで、
「SCIだから、この職業!」
と決めつける必要はありません。
むしろ、
「この結果を見て、自分はどう感じる?」
が大切です。
結果に「違和感」があってもいい
私は、
検査結果が出たら、
「全部当たっていなければいけない」
と思っていました。
でも、
そうではないと思います。
「これは確かにそう」
「これは意外」
「これは違う気がする」
という反応そのものが、
自己理解の材料になります。
例えば、
「Sが高いけど、人とずっと一緒にいるのは苦手」
ということもあります。
それなら、
「人と関わることの中でも、どんな関わり方が好きなんだろう?」
と考えてみる。
検査結果を答えではなく、問いに変える。
私は、
この使い方が面白いと思っています。
こんなときに受けてみるのがおすすめ
個人的には、
「転職するかどうか決めるため」
だけではなく、
「そろそろ自分の仕事について考えたい」
という段階で受けてみるのもいいと思います。
例えば、
①「事務しかしてこなかった」と感じているとき
今までの経験を否定するのではなく、
「自分は事務の何が好きだったんだろう?」
と考えるきっかけになります。
②転職したいけれど、何に転職したいか分からないとき
求人サイトを眺め続けるより、
まず自分の興味を整理してみる。
その後、
興味のある職業を調べていく。
という順番もできます。
③資格を取ろうか迷っているとき
「とりあえず資格を取らなきゃ」
ではなく、
「そもそも私は何をしたい?」
を考える材料になります。
④今の仕事が嫌だけど、次の仕事が分からないとき
「今の仕事が嫌」
という気持ちだけでは、
次の選択肢が見つからないことがあります。
そんなとき、
「何が嫌なのか」
「逆に、何なら興味があるのか」
を整理するきっかけになります。
⑤キャリアについて相談するとき
キャリアコンサルタントなどに相談するときも、
検査結果を一つの材料として使えます。
結果を見ながら、
「なぜこの領域が高いのか?」
「過去の経験と関係しているのか?」
「これからどんな仕事を調べてみるか?」
と話を広げていけます。
どこで受けられるの?
VPIは、
誰でもスマートフォンで無料診断できる性格診断のようなものとは少し違います。
現在、VPI職業興味検査は日本文化科学社が提供しており、JILPTでは販売していません。
そのため、
大学・短大などの教育機関や、キャリア支援・職業相談の場などで、実施者のもとで受ける
という使い方が基本になります。
また、検査そのものは購入して実施することもできますが、社会人の場合は結果の解釈に年齢や職業経験などを考慮する必要があります。
「ネットでVPIと書いてある無料診断を見つけた!」
という場合は、
正式なVPI職業興味検査なのか
を確認したほうがよさそうです。
そして、VPIは「採用試験」ではありません
ここも重要です。
VPIは、
企業が採用する人を選ぶための検査ではありません。
進路指導や就職ガイダンス、キャリア探索などに使うための検査です。
公式の説明でも、採用などの選考場面で使用するものではないとされています。
つまり、
「VPIの結果が悪かったから就職できない」
というようなものではありません。
あくまで、
自分自身を理解するためのもの。
だからこそ、
安心して、
「私って何に興味があるんだろう?」
という気持ちで受けてみることができます。
私のVPIの結果は?
ここまで説明したところで、
私の結果を紹介します。
私の結果は、
R 15
I 40
A 10
S 90
E 20
C 65
でした。
そして、
興味パターンは、
SCI
でした。
この結果を見たとき、
「なるほど!」
と思った部分もあれば、
「え、そうなの?」
と思った部分もありました。
特に、
Sが90とかなり高かったこと。
そして、
Cも65だったこと。
これは、
私のこれまでの仕事を振り返ると、
かなり興味深い結果でした。
「人を支えること」と、
「情報を整理して正確に仕事をすること」。
一見すると、
違う方向に見える二つが、
私の中には両方あったのです。
そして、
それを知ったことで、
今までの職歴も、
少し違って見えてきました。
「事務しかしてこなかった」
と思っていた私の経験が、
実は、
「人を支えること」と「正確に仕事を進めること」
という二つの軸で、
つながっていたのかもしれない。
VPIは、
私に「正解」を教えてくれたわけではありません。
でも、
自分の人生を振り返るための、新しい視点をくれました。
だから、
「自分のやりたいことが分からない」
「今の仕事を続けるか迷っている」
「転職したいけど、何がしたいのか分からない」
という方には、
こういう検査を使って、
一度自分を外側から眺めてみるのも面白いと思います。
もしかしたら、
自分では当たり前すぎて気づいていなかった、
「これ、実は私が好きだったんだ」
が見つかるかもしれません。
私も、
36歳になって、
ようやく少しずつ、
自分の「好き」と「大切」を言葉にできるようになってきました。
まだ、これから。
